RPA導入、成功・失敗の分かれ道【後編】-RPAを導入・定着させるためのポイントとは-

「準備」「導入」「適用」フェーズの具体的事例で理解する、RPA導入・定着のための成功ポイント


RPAを「うまく導入できない」「導入したがうまく定着しない」というケースは少なくありません。導入・定着が成功しない原因を知るためには、「準備(業務の可視化)」「導入」「適用」というフェーズごとに掘り下げ、問題を可視化することが重要です。そこから、成功しない原因を知ることができます。後編となる本コラムでは、RPAを導入・定着させた成功事例も参考にしながら、RPA導入・定着のためのポイントを探っていきます。

目次

RPAをうまく導入・定着させるためのポイント

フェーズごとのRPA導入・定着が思ったように進まない理由として、以下のような点が挙げられます。

(1)準備フェーズ

  • 業務整理(業務プロセスの可視化)ができていない
  • 自動化対象業務が選定されていない
  • コスト削減のことばかり考えている
  • 社内業務のどんなシーンでRPAを使うかイメージできていない
  • ツールありきで考えている
  • 全業務のRPA代行ありきで、部分代行を考えていない

準備フェーズでは業務整理がとても重要です。業務整理を行うことで業務プロセスが可視化され、RPAに代行させる対象業務が選定できるようになり、不要なプロセスも明確になります。また、準備フェーズでは、コスト削減のことばかり考えないということもポイントです。

(2)導入フェーズ

  • RPAの機能を使いこなせない
  • 研修で得た知識を活かせない
  • エンジニアによるRPAの導入・運用サポートがない
  • スモールスタートして、段階的に展開していない
  • やるべきことを分解して、現場内で役割を分担していない
  • 動作環境が安定しない
  • 現場を巻き込んでいない

RPAの導入時には、現場部門に対してロボットを開発する研修が行われますが、研修だけでは導入フェーズでつまずいてしまうことがほとんどです。実際にエンジニアと話をしながら問題の解決や運用のアドバイスを受けるなど、RPA導入・運用の十分なサポート体制が必要です。

(3)運用フェーズ

  • 困ったときの相談窓口がない
  • 現場のRPA化要望の対応状況やロボット稼働状況が分からない
  • RPAの運用を現場任せにしている
  • RPAの管理・統制ができていない

運用フェーズ段階では、RPAの拡大を意識した管理・統制を準備しておくようにしましょう。その際には、システム的な観点やセキュリティ上の観点、内部統制上の観点でのチェックを行う必要もあるため、システム部門、セキュリティ部門、総務部門がプロジェクトメンバーとして参加し、情報共有しながら進めるとスムーズです。

RPAを導入・定着するためのカギとは

あるICT企業では、管理部門主導でRPAを導入し定着させています。RPAの導入前と導入時、導入後には、現場部門(導入したのは総務・経理部門)に対して以下のように説明を行い、RPAの導入を推進していきました。

RPA導入前

RPAを導入する総務・経理部門に対して「RPAでできること、できないこと」を明確にし、完全自動化ではなく部分代行化を考えることも重要だと説明し、RPAのことを現場に理解してもらいました。

RPA導入時

RPAの導入目的は、業務の自動化をするだけではなく、業務改革を意識しながら費用対効果を考えてロボットを開発していくことが重要だと説明しました。RPA導入の真の意味を、総務・経理部門に理解してもらったことがRPA導入成功につながりました。

RPA導入後

RPAの導入目的を見失わず、導入したツールにとらわれ過ぎずに、段階ごとにRPA導入の原点に立ち戻って見直しを行いました。その上で、業務効率化が図れる最善の方法をとることが重要だと、総務・経理部門に説明し、RPAの定着を進めていきました。総務・経理部門では当初、RPA導入の最大の効果は「業務を自動化して省力化できること」だと考えていました。しかし、RPA導入後には現場から以下のようなコメントが寄せられました。

「RPAを導入してもっとも良かったのは入力ミスが激減したことです。以前行っていた、『管理シートから手作業で転記してデータを登録していく』という作業は、どうしても転記時点での入力ミスが減りませんでした。しかしRPAを導入したことにより、このミスが激減したのです。」

このように、RPA導入は業務の省略化だけではなく、ミスの削減、作業者のストレス軽減といったメリットを生む可能性も秘めています。

「2018年にRPA化にかけた開発工数は6.2人月でしたが、RPA導入後の効果を計算すると、1年間で約1,800時間、11.25人月分の削減効果を得られました。ROIは0.55となり、約半年で投資コストを回収できるくらいの費用対効果を上げることができました。」

「RPAは単なるツールだ」という共通認識を社内で持った上で、業務改革を意識しつつ導入推進を行ったことが同企業のRPA導入・定着に貢献したといえます。

シーイーシーが手がけているRPA導入支援サービスと、取り扱っているRPA製品

ポイントを押さえれば、RPAは業務効率化に貢献します。しかし、効率的かつスピーディーにRPAのロボットを開発していくことは簡単ではありません。そこでシーイーシーでは、お客様からご要望の多いRPA導入支援メニューを用意しています。お客様に合ったメニューを選んでいただければ、どの工程からでもサポートできます。

またシーイーシーでは、「ROBOWARE」「BizRobo!」「EzAvatar」という3つのRPAツールを取り扱っています。この3ツールの中からお客様が自動化したい業務内容に合わせて製品を選定し、最適な導入のご提案を行います。

RPA導入支援サービス
https://workstyle.cec-ltd.co.jp/solution/rpa.html

まとめ

RPAに代行化させる業務の選定は、業務整理をして可視化した上で、RPAの特性を考えて行う必要があります。「RPAですべての業務を代行する」という考えは捨て、部分代行を念頭に置いて業務を選定していくということが肝心です。

RPAの導入時には、開発に現場の声を取り入れたり、エンジニアサポートを活用したりすることで、業務の代行化を実現していきます。そして、RPA導入後には立ち上げに勢いをつけるため、開発したプログラムを横展開し、RPA導入で得られた知見を蓄え活用していくことをおすすめします。

RPA導入後の定着には、RPAに対する社内の役割分担を明確にし、情報共有を積極的に行いましょう。また、RPAが定着したのち、代行化する業務を拡大する際には、管理・統制の体制を整えたいものです。

RPAを導入・定着させるためには、ツールありきで導入するのではなく、RPAに関する知見をもったベンダーと一緒に、RPAの導入・定着を推進していくことが肝要です。RPA導入にご興味があれば、ぜひシーイーシーにご相談ください。

お役立ち資料

RPA導入で実現する働き方改革!

労働力人口減少の中で、企業が生き残るための戦略や、労働力不足への対策や、ルーチンワークからの解放など、RPAの導入は、働き方改革を実現する中心的な役割として期待されています。一方で、残念ながらうまくいかず失敗してしまう事例も少なくありません。現在RPAが注目されている背景や、RPAを導入することのメリット、RPAの導入時に多くの企業が直面する課題についてお伝えします。
内容
  • 第 1 章 労働力人口減少の中で企業が生き残るための戦略、RPAとは?
  • 第 2 章 RPAを効果的に活用する業務選定のポイント
  • 第 3 章 RPAを導入・運用するうえでの課題と解決方法

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