情報銀行の誕生で生活はどう変わる?
実証実験から考える

セキュリティ

情報銀行が設立されると、個人がそれぞれの個人情報を管理できるようになります。実際に情報銀行を経由することで、個人情報はどのように管理され、どのように使われるのでしょうか。

個人情報の提供者側はどのような情報を提供し、どんなメリットがあるのか、個人情報を消費する企業はどのような形でその情報を生かすのか、具体的な例とともにご紹介します。

物流分野での情報銀行の活用例

ある電機メーカーでは、社員から参加者を募集して、情報銀行の実証実験を進めています。参加者(データ提供者)の各家庭では電力センサーを設置し、家電ごとに電力使用状況のモニタリングデータを収集、情報銀行に提供しています。そこから生活パターンを分析すると、曜日や時間帯ごとの在宅率がわかります。

データの消費者である物流企業では、各家庭の在宅率に合わせ、できるだけ不在時の配達がなくなるような宅配ルートを考えることができます。

それによって、参加者には不在時の配達が減り、再配達を頼む手間を減らすことが可能です。また物流企業側にもメリットがあり、不在時の配達が減ることで再配達が減り、作業量を大きく減らすことにつながります。

広告・マーケティング分野での情報銀行の活用例

大手メーカーでは、実証実験参加者(データ提供者)の世帯構成や収入などのデータを情報銀行に提供しています。同時に、社員が身に着けている活動量センサーやスマートフォンから、健康に関するデータが自動的に情報銀行に提供されます。

それらのデータに合わせて、データ提供者に対しては世帯ごとのプロファイルに基づいたWeb広告が表示されるようになります。

旅行・観光分野での情報銀行の活用例

観光業界では、情報信託機能を旅行者への観光案内や旅行プランの提示に利用する動きが出ています。すでに、いくつかの都市で実証実験が始まりました。

旅行者(データ提供者)は、専用のスマホアプリから興味や趣味、観光プランなどを入力して情報を登録し、データ利用を許諾します。データ消費者となる企業は文化施設や小売業が多く、個人情報提供者は、クーポンや割引券、観光案内、特別観覧や文化体験などのサービスを受けることができます。旅行をより楽しめる特典が受けられるという点が特徴です。

地域型情報銀行の事例

ある地方都市では、情報の地産地消をうたう「地域型情報銀行」という試みが進んでいます。データ提供者は市民で、データ消費者も地元のスーパーやファッションビルなどの地元企業です。

データ提供者があらかじめデータの提供を許諾することで、電力会社での会員情報や家庭での電力使用量、行政データなどのパーソナルデータ、日常の健康データなどが自動的に提供されます。データ消費者の企業からは、あらかじめ登録された情報や提供された個人情報に合わせたサービスを受けられます。

これは、地元の情報を地元で有効活用しようという試みです。データ提供者としても、データ消費者の企業が地元に密着していることで、安心して利用できるというメリットがあります。

情報銀行アプリの事例

ある大手銀行では、情報プラットフォームを設立して情報銀行としての機能を備える実証実験を行っています。情報プラットフォームは、データ提供者にはスマホアプリで提供され、そこから個人情報を入力したり、個人情報の許諾をしたりすることが可能です。

アプリには、どんな企業がどのようなデータを何のために使いたいかが表示されます。データ提供者は、どの企業にどの情報を提供してよいかをアプリ上で許諾します。

企業側は、料金を払えばそのデータを利用できます。個人情報提供者に対しては、クーポン、割引券などさまざまな形で対価が支払われます。

現在、その大手銀行の口座の情報だけでなく、他社に保有している金融資産や、ライフログと言われる普段の行動データ、さらに健康診断や人間ドックなどのバイタルデータなども収集しています。将来的には、SNSのアカウントやWebの閲覧履歴、購入履歴などのデータも集約していく予定だということです。

今後本格化する情報銀行の利活用に注目が集まる

今後本格化する情報銀行の利活用に注目が集まる情報銀行で多くの利用が想定されているのは、特に「ライフログ」と呼ばれる日々の行動に関するデータです。毎日の食事や運動、医療機関でのデータや移動データなど、本人があまり意識していないようなデータを、長期的に継続して収集します。長期的に収集されたデータを活用することで、企業側は一人ひとりに合わせた最適なサービスを提供できるようになります。

今後、本格化するとみられる情報銀行の活用においては、情報銀行の意義や機能が理解され、正しく運営されることが必要です。多くのメリットを生み出すとされる情報銀行が、これからどのように活用されていくのか注目が集まっています。

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