マイナンバーカードの普及状況。政府の取り組みや活用メリットは?

活用シーンが広がりつつあるマイナンバーカード


コロナ禍における特別給付金やマイナポイント施策によって、活用機運が高まっている「マイナンバーカード」。将来的には国民用デジタルアイデンティティとしての活用されることを見越し、活用シーンが広がりつつあります。そこで今回は、マイナンバーカードの普及状況や活用のメリット、さまざまな利用シーンにおける活用事例などについてお伝えします。

マイナンバーカードの利便性に関しては下記記事をご参照ください。
>> マイナンバーカードを職員証として活用!その潮流は自治体から企業へ

自治体様向けの窓口業務マイナンバー利活用ソリューションの動画もこちらからご覧いただけます。
>> 【オンライン視聴】窓口業務マイナンバー利活用ソリューション

目次

マイナンバーカードとは

まず「マイナンバー」とは、公平・公正な社会の実現と国民の利便性の向上、行政の効率化の3点を目的に導入が進む社会基盤と言えます。2015年10月に施行された番号法によって定められた国民一人ひとりに割り振られた一意の数字を示し、提出されたマイナンバーは、行政の社会保障や税、災害対策分野の各事務手続に限って利用されています。

マイナンバーカードとは、このマイナンバーが通知された後に、個人の申請によって交付される顔写真入りのプラスチック製カードのことを示します。マイナンバーの確認と本人確認を一枚で行うことができるもので、表面には氏名・住所・生年月日・性別・顔写真といった本人確認可能な身元情報が、裏面にはマイナンバーがそれぞれ印字されています。

ちなみにカードの中には、電子的に個人認証ができる電子証明書を搭載したICチップも埋め込まれています。

マイナンバーカードの普及状況

2020年12月1日現在、総務省が発表したマイナンバーカードの人口に対する交付枚数率は全国で23.1%。2016年1月から交付が始まり、4年近くが経過していることを考慮すると、まだまだ一般的に普及しているとは言い難い状況です。

出典:総務省「マイナンバーカード交付状況(令和2年12月1日現在)」

内訳を見ると、70歳代高齢者の交付枚数率は30%前後となっていますが、一方で20~40歳代は20%台前半を推移、10歳代にいたってはいまだに10%台前半を、それぞれ推移しています。

出典:総務省「マイナンバーカード交付状況(令和2年12月1日現在)」

マイナンバーカードの普及を拒む要因

このように、マイナンバーが思うように普及しない要因としては、主に2点が要因として考えられます。

マイナンバーカードを紛失した場合の悪用が怖い

ご存知の通り、マイナンバーは国民すべてに割り当てた「個人番号」であり、「個人を識別するもの」です。したがって、紛失してしまうと個人に紐つく「個人番号」とともに個人情報も渡ってしまう可能性があります。「個人番号」は基本的に一生変わることがありませんから、クレジットカードやキャッシュカード以上に厳重な管理が必要なのは間違いありません

メリットが少ないと考えられている

もう一つは、マイナンバーカードを取得した場合のメリットを、多くの国民がしっかりと把握できていないことに起因します。マイナンバーカードの交付を受けるには、スマートフォン・パソコン・街中の証明写真機・郵送の4手段から申請できます。とはいえ、特別なメリットを享受できることを把握していなければ、自身の正面写真を用意してフォーマットに合わせた情報を入力した上で申請するよりも、例えば運転免許証と通知カード(2020年5月26日以降は個人番号通知書)でいいや、となるわけです。

マイナンバーカードを取得する4つのメリット

では、マイナンバーカードを取得することで、具体的にどのようなメリットがあるのでしょうか。以下4つの観点でご紹介します。

身分証明書として利用できる

冒頭でもお伝えした通り、マイナンバーカードの表面は公的な身分証明書として広く利用することができます。パスポートや運転免許証を持たない人にとっては、便利な活用法と言えます。

住民票など各種証明書をコンビニエンスストアで取得できる

コンビニエンスストアに設置されているキオスク端末(マルチコピー機)のカードリーダーにマイナンバーカードをかざして、利用者証明用電子証明書の暗証番号を入力することで、住民票の写しや印鑑登録証明書など各種証明書を取得できます。また、現住所の市区町村と本籍地の市区町村が異なる場合は、事前に申請することで戸籍証明書も取得できます。

ただし、いずれも市区町村によって取得できる証明書が異なるので、事前にこちらから調べておくとよいでしょう。

ネットでの確定申告が可能

マイナンバーカードと、カード内ICチップに記録された電子情報を読むための機器「ICカードリーダーライター」を利用することで、自宅にてe-Taxで確定申告データを送信することができます。具体的な手順は以下の通りです。

  1. ICカードリーダーライターを準備
  2. 確定申告書など作成コーナーから「事前準備セットアップファイル」をダウンロード
  3. 確定申告書など作成コーナーで申告データを作成して送信

なお初めて行う場合は、後述するマイナポータルとマイナンバーカードの紐付け作業が大変なので、事前に手順や注意ポイントをリサーチしておくことをお勧めします。

マイナポータルを利用できる

政府が運営する情報提供等記録開示システム「マイナポータル」を利用できます。これは子育てや介護などに関する行政手続をワンストップで実施できるほか、各種行政機関からのお知らせなどを確認することもできるサービスです。内閣府ページでは、マイナポータルで提供される具体的なサービスとして以下が挙げられています。

出典:内閣府「マイナポータルとは」

なりすましに悪用される危険性を防ぐため、利用者証明用電子証明書を搭載したマイナンバーカードが必須となります。(マイナポータルについてはこちら

このようにマイナンバーカードを取得すると、生活に密接する部分での恩恵が多数あります。ただ、この便利さを得るために「わざわざマイナンバーカードを取得する必要性があるのか?」というのが多くの人が抱く疑問点ではないでしょうか。実際、マイナンバーカードが普及しない現状から判断すれば、「必要性を感じている人が少ない」と言えるでしょう。

マイナンバーカード普及に向けた政府の対策

もちろん、この状況に行政・自治体も手をこまねいているわけではありません。ここでは大きく2つの施策について見ていきます。

マイナポイントの促進

マイナポイントとは、行政が推し進めているポイント還元事業です。2020年9月から取り組まれているもので、マイナンバーカードを使ってスマホやパソコンから予約・申込を行い、そこで選択したキャッシュレス決済サービスを通じてチャージやお買い物をすることで、利用金額の25%分(上限5,000円分)のポイントがもらえるというポイント還元制度になります。

行政がこのマイナポイント事業を推し進める理由として、マイナンバーカードの普及促進が挙げられます。冒頭でもお伝えした通り、マイナンバーカードはいまだ一般的に普及しているとは言い難い状況です。マイナポイントを取得するためにはマイナンバーカードが必要となるので、その普及促進に向けた施策の一環と言えるでしょう。

もちろん、キャッシュレス決済の普及促進や消費の活性化という側面もありますが、新型コロナウイルス感染症拡大に伴う特別定額給付金(新型コロナウイルス感染症緊急経済対策関連)支給のようなオペレーションを円滑化するためにも、マイナンバーカード普及は喫緊で望まれていると言えるでしょう。

健康保険証としての利用

マイナンバーカードの健康保険証利用も、カードの交付率向上に向けた取り組みの1つです。
確実な本人確認と保険資格確認、過誤請求防止、特定健診情報などの活用、薬剤費の節約、顔認証の活用など、医療の質と利便性の向上を目指してマイナンバーカードの健康保険証利用に向けた環境整備が行われており、2021年3月から本格的な運用がスタートする予定です。

利用申し込みはマイナポータル画面から受け付けており、2022年度中には、ほとんどの医療機関でマイナンバーカードが導入済みと予測されています。
なお、マイナポータルでアナウンスされているマイルストーンは、以下の通りとなります(※記事執筆時点の情報)。

2021年3月(予定)から
・医療機関・薬局などで、順次マイナンバーカードの健康保険証利用が可能に
・マイナポータルで、順次特定健診情報の閲覧が可能に

2021年10月(予定)から
・マイナポータルで、薬剤情報・医療費情報の閲覧が可能に

2021年分所得税の確定申告(予定)から
・確定申告における医療費控除の手続きで、マイナポータルを通じて医療費情報を自動入力することが可能に

引用:マイナポータル「マイナンバーカードの健康保険証利用」

自治体・企業におけるセキュリティ対策としてのマイナンバーカード活用

現在、行政・自治体、企業においては、セキュリティソリューションという形でマイナンバーカードの利用が開始。マイナンバーカードのICチップに格納された電子証明書を利用することで、最近特にニーズが顕在化してきている本人確認ソリューションをはじめ、パソコンのログイン管理や認証印刷管理など、幅広いシーンでの厳格なセキュリティ確保が可能となります。

また、行政のIT化を強力・機動的に推進する「デジタル・ガバメント閣僚会議」では、マイナンバーカードを社員証として活用するなど、企業においても活用が促進されるように利用手続の簡素化を実施するとうたっています。

マイナンバーカードの社員証利活用に関する事例には、下記記事でご覧いただけます。
>> マイナンバーカードを職員証として活用!その潮流は自治体から企業へ

なお同会議体では、「国家公務員および地方公務員など(国家公務員共済組合・地方公務員共済組合)については2019年度内にマイナンバーカードの一斉取得を推進していく」とのアナウンスがなされましたが、新型コロナウイルスの影響もあり、2020年3月時点での取得率(申請中含む)は58.2%に留まりました。今後の盛り返しに期待したいところです。

まとめ

社会保障と税負担の公平性の実現、行政の利便性向上・運用効率化など安全・安心なデジタル社会の基盤構築に向け、官公庁や自治体によるマイナンバーカード普及の取り組みは、今後ますます活発化すると予想されます。
国民一人ひとりがマイナンバーカードを持つ時代は、そう遠くないかもしれません。

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