西日本豪雨を経験した広島県のICT活用とは?-地方自治情報化推進フェア2019ベンダープレゼンテーションレポート-

地方自治情報化推進フェア2019にシーイーシーが出展しました!


2019年10月10日、11日の2日間、東京都江東区の東京ビッグサイト青海展示棟で「地方自治情報化推進フェア2019」が開催されました。「ソサエティ5.0でめざす地方創生」をテーマに、行政の電子化に役立つ展示やセミナーが実施され、多くの来場者でにぎわいました。本記事では、西日本豪雨災害でのクラウド活用の実例を含めて、広島県のさまざまな取り組みが紹介された、シーイーシーのベンダープレゼンテーションの様子をレポートします。

目次

在宅勤務制度「いえでもワーク」を導入、広島県の先駆的な取り組みとは

10月11日のベンダープレゼンテーションでは、広島県 情報戦略総括監 デジタルトランスフォーメーション推進本部 副本部長の桑原義幸氏にご登壇いただき、「未来へ羽ばたくヒロシマ ~DX時代の働き方考察~」をテーマに、広島県の電子化推進の取り組みを紹介していただきました。自治体のICT活用の実例を聞けるチャンスに、セミナー会場には多くの人が集まりました。

広島県は人口およそ284万3990人、県内に14市9町を有し、県庁の職員数は5956人に上ります。2010年12月に「行政経営刷新計画」を掲げて、ICTを駆使したワークスタイルの変革にいち早く取り組んできました。2013年度には全国で初めて、県庁幹部による経営戦略会議のペーパーレス化を実現。2018年度には県議会にもペーパーレスを導入しました。

シーイーシー デジタルインダストリービジネスグループ 第一営業部長兼マーケティング部長 松井 裕晃

広島県 情報戦略総括監
デジタルトランスフォーメーション推進本部 副本部長 桑原義幸氏

取り組みのひとつが、2013年1月に導入した在宅勤務制度「いえでもワーク」です。当時はまだ「働き方改革」が注目され始めたばかりで、全国でも先駆的でした。最初から浸透したわけではなく、導入から1年経過した時点で利用者はゼロ。使いやすい制度を目指して4度にわたる改善を重ね、2018年度には、利用実績が延べ577名、2516日と定着しています。

西日本豪雨災害でクラウド活用。ストレージとDaaSで、どこからでも業務可能に!

多様なICT活用を支える基盤として、サイバーセキュリティへの対応は不可欠です。広島県でも、国から示された「ネットワーク分離」「庁内ネットワークの強靱化」「自治体セキュリティクラウドの構築」「CISO設置等体制の強化」という4項目の指針に従い、強靱化に取り組んできました。「個人番号利用事務ゾーン」「LGWANゾーン」「行政LAN/WANゾーン」の適切なネットワーク分離や、自治体情報セキュリティクラウドである「ひろしまセキュリティクラウド」を経由したインターネット接続を推進してきたのです。

こうした中で発生したのが、2018年7月の西日本豪雨災害です。

広島県では、死者・行方不明者合わせて135名超、家屋の全壊1029軒、半壊・損壊4786軒、床上浸水2926軒、床下浸水5009軒という甚大な被害に見舞われました。土石流・土砂崩れは5000カ所以上、山陽自動車道などの主要道路にも崩落や冠水が多数発生し、停電18万8000戸、断水21万1008戸と、社会インフラにも多大な被害がありました。

クラウドで、災害後も業務が可能に

災害発生前は、庁内ネットワークへのリモートアクセスはVPN経由でのみ可能で、インターネット経由のアクセスはできませんでした。しかし、災害発生にともない、土砂災害による通信回線の遮断、停電によるネットワーク停止、浸水による機器の故障、交通遮断による通勤困難などが同時に発生。桑原氏は当時を「とても通常の業務が続けられる状況ではありませんでした」と振り返ります。

一方で、罹災証明書の発行にともなう現地調査は、膨大な軒数に上ります。現場の職員からは

  • 「カメラや資料、地図などを別々に持ち歩くと、荷物が多くて大変」
  • 「調査後の報告書作成に手間がかかる」
  • 「現地の情報をリアルタイムで共有したい」
  • 「端末が圧倒的に不足している」

といった課題が寄せられました。

この窮状を知った複数の企業から、機器やソリューションの無償貸与などの支援を得ることができました。とりわけクラウド活用の効果は大きかったと言います。クラウドストレージ「Box」と、DaaS(Desktop-as-a-Service)サービス「Horizon Cloud on Microsoft Azure」で、インターネット経由でのセキュアな接続が可能となり、場所を問わずに業務ができるシステム構成を実現できたのです。西日本豪雨災害を受けて農林水産局で行われた「ため池緊急点検」でも、リアルタイムに現況を共有でき、要員や重機などのリソースを効率的にアサインできました。その後、他局や県教育委員会でも、同様のシステム構成を活用しています。

桑原氏は「図らずも、元々のロードマップよりも数年前倒しで、クラウドストレージや仮想化環境、BYODなどを導入する形になりました」とする一方で「もっとテクノロジーを活用していれば、もっと多くの命を救うことができたかもしれない」と悔しさもにじませました。

行政のDX実現を目指して、シーイーシーの「MultiScan!」にも注目

広島県では、2019年7月に「デジタルトランスフォーメーション推進本部」を立ち上げ、行政サービスのデジタルトランスフォーメーション(DX)の実現に向けて、多面的に取り組んでいます。

今、桑原氏が注目しているシーイーシーのサービスが、マルチメーカー対応の複合機スキャンサービス「SmartSESAME MultiScan!(マルチスキャン)」と「Box」の連携です。桑原氏は、広島県もBoxを使って情報を共有するようになったことから「マルチスキャンを使えば、複合機とクラウドストレージの連携で、どこの行政機関でも重要になっているペーパーレス化を手軽に実現できます。これほど便利なものはないと思います」と語りました。

SmartSESAME MultiScan!製品サイトはこちら


近年全国で大規模な自然災害が相次ぐ中、西日本豪雨の経験に基づいた貴重なエピソードから、ITを活用した災害への備えの重要性を感じることができました。約40分間のセミナーが終了すると、熱心に聞いていた参加者から大きな拍手が湧きました。

講演内でもご紹介いただいたシーイーシーのオフィスセキュリティソリューションSmartSESAMEは、デジタルトランスフォーメーションの実現に役立つドキュメント周りのプラットフォームとして、今後もクラウドストレージやデジタル化技術を最大限に活用した未来の働き方をご提案していきます。

ブースでの様子はこちら

ICT活用で叶える、自治体の「3つのミライ」-地方自治情報化推進フェア2019レポート-

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