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ブロックチェーンが変えるものはこれだ!

2018年12月12日

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■ ブロックチェーンって何?

すでに多くの記事や文献などで紹介されているので、概念についてご理解されている方は多いかと思います。本記事では、特にビジネスサイドの方々に向けて、ブロックチェーンとは何か、また注目される理由について、簡単におさらいから始めたいと思います。

まず、いきなりですが、ブロックチェーン=仮想通貨(ビットコインなど)ではありません。

サトシ・ナカモト(日本人名だが、いまだ誰だかわかっていない)の論文に端を発し、ブロックチェーン技術が2008年に生まれました。ブロックチェーンは、ビットコインの技術基盤として有名になりましたが、ユーザー固有のデータを書き込むことができるようにしたイーサリアム(Ethereum:ビットコインに次ぎ時価総額世界第2位)のプラットフォーム出現により、仮想通貨以外の目的で利用価値がでてきました。中身は、暗号技術を核としたものであり、世の中のあらゆる仕組みに応用できる技術基盤です。その実態は、ブロックと呼ばれる箱に、取引履歴(トランザクション情報のほか、電子署名、ハッシュ値、ナンス値などで構成)を記録し、それをチェーン状に繋いでいるものとなります。

(経済産業省:ブロックチェーン技術を利用したサービスに関する国内外動向調査)


ブロックチェーンを簡潔に説明すると「書き換えることができない(改ざんできない)自律型分散台帳(ストレージ)」と言えます。雑な表現にはなりますが「インターネット上の共有型データベース」という理解でもほぼ間違いありません。特徴としては下記があげられます。

・「データを書き換えることができない(改ざんできない)」
・「非中央集権(分散化)の仕組みである」
・「合意されたデータのみ認識される(デジタル・コンセンサス)」
・「停止することのないシステムである」

データを書き換えられないとは、ブロックチェーンは登録(insert)と参照(select)しかできず、削除(delete)や変更(update)はできない仕組みになっています。つまりデータの改ざんが不可能なことを意味します。非中央集権の仕組みとは、誰か(サーバー)がどこかで集中的にデータを管理しているのではなく、参加者(ノード)全員で分散してデータを管理しています。合意されたデータのみ認識されるとは、コンセンサス・アルゴリズムと呼ばれる電子的な合意形成をもとに正しいデータとして認識されることを意味しています。また、分散化された一部のコンピューターが壊れても、誰かが故意に止めたとしても、自動復旧(ノード間でブロックを一致させる動き)の仕組みにより、ブロックチェーン全体の動きを止めることが不可能なため、停止することがないシステムということになります。(物理的に世の中に存在するブロックチェーンのコンピューターを、51%以上ハッキングすれば停止や破壊はできますが、時間的にもコスト的にも実質不可能でしょう。)
 

■ なぜ注目する必要があるのか?

ではなぜ、このような仕組みが注目されるのでしょうか?もう少しそのメリットを掘り下げてみます。

・記録の喪失や偽造がなくなる
・仲介(企業・個人)が必要なくなる
・取引の真正性や信頼性が向上する
・取引のコストが低減される
・情報の透明性が担保される
・高度な信用経済が生まれる(既得権益がなくなる)
・契約執行の自動化が可能となる(スマートコントラクト)

ブロックチェーンを語る上で、とても重要な点があります。それは自律的非中央集権型組織(Decentralized Autonomouse Organization:通称DAO)の概念を踏襲していることです。

これまでの一般的なシステムは「中央集権の仕組み」です。スタンドアローンシステム、クライアント・サーバーシステム、クラウドシステム、どれをとっても誰かがどこかで集中管理しています。もちろん、処理をスケールする上でサーバーを遠隔含め分散化させる技術はありますが、それもどこかの企業や組織が管理運用しているものです。クラウドベースのシステムでも、運用母体の組織や個人は存在し、最終的にはアマゾンだったりグーグルだったりが管理するプラットフォーム上のサービスが基盤になっています。また、UberやAirbnbなどのシェアリングビジネス、メルカリなどのC2Cビジネスも、実際にはC2B2C(間にサービス提供企業が入り仲介している)であり、直接的なコンシューマー間でのやり取りは、成り立ってこなかった現状があります。つまり、中央集権のメリットは、国や銀行や企業が、暗黙的に信用を担保してくれるところにあったわけです。

これに対して、ブロックチェーンにおける信用とは、全員で監視する(電子的に自律的に合意形成する)ことで運用されます。すべての取引や履歴が記録される状態で、それら記録の真正性を担保するために合意形成の仕組みがあります。そして仲介者が不要になることで、取引コストの圧倒的な低減に繋がります。また、個人を特定する紐付けだけが、他人からはできないだけで、すべての取引や履歴(トランザクション)の記録はオープンであり、透明性も担保されることになります。つまり、情報の信頼性は格段にあがることになります。取引におけるトークン(電子的な合意形成を行うための報酬や手数料)を使った新たな信用経済、なおかつより高度な信用経済を作る基盤となる、と言われているゆえんです。

(経済産業省:ブロックチェーン技術を利用したサービスに関する国内外動向調査)


ブロックチェーンの活用において非常に有用なのが、スマートコントラクトと呼ばれるもの(=プログラム)です。ブロックチェーン上に契約内容を保存し、自動的に契約内容を実行できるようにするものです。概念自体はブロックチェーンが生まれる前からあったものですが、イーサリアム(Ethereum)やハイパーレジャーファブリック(Hyperledger Fabric)などのプラットフォームで実装されたことで、アプリケーションの適用範囲が大幅に広がることとなりました。

デジタルデータは、一般的にはコピーし放題なイメージがあります。これまでにさまざまなソリューションが開発されてきましたが、ベンダー固有のものが多く、基盤レイヤー(プロトコルレイヤーと言うべきかも)レベルでのコピーや二重課金などの問題を根本的に解決してくれるものは存在しませんでした。ブロックチェーンでは、その所有者や権利者をアドレス(一意性)やトークン(移動履歴)で管理することが可能なため、知的財産や著作権などの管理にはうってつけとも言われています。
 

■ 応用事例は多方面にわたる

経済産業省の試算によると、国内のブロックチェーン活用の市場規模は67兆円に達すると予測されています。市場規模から考えて、主に想定される分野としては下記があげられます。
・金融業(フィンテック、送金、証券取引、保険証跡など)
・流通業(サプライチェーン)
・医療分野(ヘルスケア)
・不動産分野(登記、売買取引など)
・広告分野(ブランド、出版、代理店など)
・商品管理(原材料、製造地、製造過程など)
・食品管理(生産地、流通経路など)
・運送管理(発送地、配送経路など)
・IoT(マイクロトランザクション、マイクロペイメントなど)
・シェアリングエコノミー
・著作権管理、知的財産管理(所有者や所有権、閲覧権など)
・文書管理、証明管理(公文書、領収書、各種履歴事項、各種IDなど)
・行政(各種届出、登記、課税、公共事業、電子投票など)

(経済産業省:ブロックチェーン技術を利用したサービスに関する国内外動向調査)


送金手続きやブリッジ通貨といった金融分野での活用が想定されるものに、リップル(Ripple、時価総額世界第3位)というプラットフォームがあります。何年も前から国内外の銀行(国内メガバンク含む)がこぞって研究しており、すでにMUFGは、リップル基盤を使った国際送金を実現することを表明しています。

上記に限らず、今後さまざまな分野への応用が期待されていますが、一方でまだ多くの課題があります。
今後は、ブロックチェーンを支える技術の観点から、現段階での課題や、その動向についても、解説していく予定です。


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ブロックチェーンを支える技術、また特徴などにのポイントについてご紹介いたします。
「ブロックチェーンをどう活用すべきか?-技術編-」はこちら


アバノア・テクノロジー 代表、ITアーキテクト 平川 正広
https://www.avanoa-tech.com
現在、ブロックチェーン関連のさまざまなプロジェクトに参画し、技術開発支援を含めプロダクトやサービス創出に向け意欲的に活動している。最近の関わりとしては、Ethereum、Hyperledger Fabric、EOS、IOTA、ioeX(ELA)など。


 

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